
フリーランスさんの
労災保険って?
フリーランスになぜ今労災保険が必要なのか
フリーランスの仕事は、自由な働き方ができる反面、万が一の病気やケガに対する不安がつきまといますよね。
突然の病気やケガで仕事ができなくなったら、収入が途絶えてしまい、生活に困ってしまうかもしれません。国の労災保険の特別加入は、そんな時のための備えです。
万が一の際に、治療費や休業中の収入を補償してくれるので、安心して働き続けることができます。
フリーランスの働き方の課題と問題点

フリーランスの働き方は、自由度が高く、多様な働き方ができる一方で、様々な課題や問題点も抱えています。
ここでは、フリーランスが直面する主な課題と問題点について、具体的な事例を交えて解説します。
1.収入の不安定性
仕事量の変動:受注状況によって収入が大きく変動し、生活が不安定になりがちです。
報酬の未払い:発注者からの報酬未払いが発生するリスクがあります。
単価の低さ:競争が激しい業界では、単価が低くなる傾向があります。

2.社会保障の不足
健康保険:国民健康保険に加入する必要がありますが、高額な保険料が負担になることがあります。
年金:国民年金に加入しますが、将来の年金額が不安視されています。
雇用保険:適用外のため、失業時の生活が不安定になります。

3.労働環境の不安定性
長時間労働:納期に追われ、長時間労働になりがちです。
休日がない:休みなく働き続けることが求められる場合があります。
孤独感:周りに相談できる人が少なく、孤独を感じることがあります。

フリーランスが抱える課題への対策として、フリーランスも国の労災保険に特別加入できるように!

従来、労災保険は会社員などの雇用者向けでした。しかし、フリーランスも仕事中にケガをしたり病気になったりするリスクがあり、労働者と同様の健康問題を抱える可能性があります。
そこで、政府はフリーランスの多くが加入できるよう、労災保険の対象を大きく広げることにしました。これは、フリーランスが安心して働ける環境を整えるための重要な一歩です。
この変更は、2024年11月施行の「フリーランス新法」に基づいて行われます。これにより、多くのフリーランスが国の労災保険に特別加入できるようになり、万が一の場合でも経済的な負担を軽減できるようになります。
加入要件
①業務委託契約で働いていて、主な取引先は事業者(企業または個人事業主など、toB)である
一般消費者(toC)としか取引していない方は、フリーランスのための労災保険への加入ができません。同じ職種で、事業者と一般消費者の両方と取引している場合は、一般消費者との取引時も労働災害の対象となります。
② 現在の取引先は個人だが、将来的に企業や個人事業主と取引する気持ちや予定がある
現在の取引先は一般消費者のみでも、将来的に企業や個人事業主と取引する気持ちや予定がある方は加入することができます。同じ職種で、事業者と一般消費者の両方と取引している場合は、一般消費者との取引時も労働災害の対象となります。
③従業員を雇用していない
従業員を雇用している場合は、フリーランスのための労災保険への加入ができません。但し、短期間・短時間の臨時スタッフの雇用経験のみであれば加入できます。
④下記の職種に該当していない
下の表に記載する職種の方は、特定フリーランス事業の対象ではありませんので、該当する特別加入団体を通じて加入してください。
特定フリーランス事業以外の特別加入の事業または作業に従事する方
個人タクシー業者、個人貨物運送業者など(※1) | 特定農作業従事者(※2) |
建設業の一人親方等 | 指定農業機械作業従事者(※3) |
漁船による自営漁業者 | 国・地方等が実施する訓練従事者 |
林業の一人親方等 | 家内労働者等 |
医薬品の配置販売業者 | 労働組合等の一人専従役員 |
再生資源取扱業者 | 介護作業従事者 |
船員法第1条規定の船員 | 家事支援従事者(いわゆる家政婦(夫)) |
柔道整復師 | 芸能関係作業従事者 |
創業支援等措置に基づく高年齢者 | アニメーション制作作業従事者 |
あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師 | ITフリーランス |
歯科技工士 |
※2年間総販売額300万円以上または経営耕地面積2ヘクタール以上を有しており、所定の作業に従事する方
※3販売額や耕地面積に関係なく、トラクター等の所定の機械を使用して土地の耕作等の作業に従事する方
出典:厚生労働省「フリーランスの皆さまへ」リーフレット
給付内容
労災保険給付では、ケガ等の治療に必要な給付や、ケガ等で休業する際の休業期間の給付、治療後に障害が残った場合の給付、お亡くなりになった場合の遺族への給付等が支給されます。
療養(補償)等給付 | |
内容 | 労災病院または労災指定病院等において必要な治療等が無料で受けられます。それ以外の医療機関等で治療等を受けた場合には、治療等に要した費用が支給されます。 |
支給 事由 |
仕事または通勤によるケガや病気により療養するとき |
休業(補償)等給付 | |
内容 | 休業4日目以降、休業1日につき給付基礎日額の60%(特別支給金20%と合わせて80%)が支給されます。 |
支給 事由 |
仕事または通勤によるケガや病気による療養のため労働することができず、賃金を受けられないとき |
障害(補償)等給付 | |
障害(補償)等年金 | |
内容 | 1年当たり給付基礎日額の313日(第1級)~131日(第7級)分が支給されます。 |
支給 事由 |
仕事または通勤によるケガや病気の状態が安定し、治療してもこれ以上改善しない状態(「治ゆ(症状固定)」と言います。)となり、障害等級第1級から第7級までに該当する障害が残ったとき |
障害(補償)等一時金 | |
内容 | 給付基礎日額503日分(第8級)~56日(第14級)分が支給されます。 |
支給 事由 |
仕事または通勤によるケガや病気が治ゆ(症状固定)した後に障害等級第8級から第14級までに該当する障害が残ったとき |
傷病(補償)等年金 | |
内容 | 1年当たり給付基礎日額の313日(第1級)~245日(第3級)分が支給されます。 |
支給 事由 |
仕事または通勤によるケガや病気(傷病)が療養開始後1年6ヶ月を経過した日又は同日後において次の各号のいずれにも該当することとなったとき (1)傷病が治ゆ(症状固定)していないこと (2)傷病による障害の程度が傷病等級に該当すること |
遺族(補償)等給付 | |
遺族(補償)等年金 | |
内容 | 遺族の人数に応じ、1年当たり給付基礎日額の245日(4人以上)~153日(1人)分が支給されます。 |
支給 事由 |
仕事または通勤が原因で死亡したとき[被災した特別加入者(労働者)の死亡当時にその収入によって生計を維持されていたなど、所定の要件を満たした配偶者等の遺族に対し支給されます。] |
遺族(補償)等一時金 | |
内容 | 下記(1)の場合は給付基礎日額の1000日分が、(2)の場合、1000日分から既に支給した年金の合計額を差し引いた額が支給されます。 |
支給 事由 |
(1)遺族(補償)等年金を受ける遺族がないとき (2)遺族(補償)等年金を受けている方が失権し、かつ、他に遺族(補償)等年金を受けられる者がない場合であって、すでに支給された年金の合計額が給付基礎日額の1000日分に満たないとき |
葬祭料等(葬祭給付) | |
内容 | 31万5千円に、給付基礎日額30日分を加えた額または給付基礎日額60日分のうち、いずれか高い方の額が支給されます。 |
支給 事由 |
仕事または通勤が原因で死亡した方の葬祭を行うとき |
詳細は、都道府県労働局または最寄りの労働基準監督署へお問い合わせください。
補償事例

スポーツインストラクター:Yさんの事例
加入状況
・給付基礎日額:3,500円で加入
・年齢:42歳
・家族構成:妻、子2人
労災事故で90日間休業した場合
治療費 | 全額支給 |
休業給付額 | 243,600円 =給付基礎日額3,500円×8割×(90日ー3日) |
労災事故で障害が残った場合
障害補償年金 | 1,095,500円(第1級) ~ 458,500円(第7級) |
障害特別支給金 (一時金) |
1,760,500円(第8級) ~ 196,000円(第14級) |
労災事故で死亡した場合
障害補償年金 | 780,500円(遺族が3人の場合) =給付基礎日額3,500円×223日 |
特別支給金 | 3,000,000円(遺族の人数にかかわらず) |
葬祭料 | 420,000円 =給付基礎日額3,500円×30日+315,000円 |
このようなリスクに備えるためにも、フリーランスの方も国の労災保険への特別加入がおすすめです。
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