公開日:2025年12月15日

この記事はこんな方におすすめです
はじめに
造園業の一人親方さんと契約している造園会社の皆さん、こんにちは。
皆さんは、一人親方さんが「労災保険に入っている」という事実だけを確認して安心していませんか?
多くの元請け会社さんが「加入しているなら大丈夫」と考えがちです。
ですが、実は造園業の一人親方さんが誤って「建設業の一人親方労災保険」に特別加入しているケースが見受けられます。
なぜ、これが問題なのでしょう。
もし、契約している一人親方さんが誤って「建設業の一人親方労災保険」に特別加入していた場合、草刈りや剪定中の事故が、労災の補償対象外になってしまう可能性があることをご存知ですか?
この記事では元請け会社さんの立場で、契約している一人親方さんは本当に補償が効く保険に入っているかをチェックできるよう、ポイントと対策を分かりやすく解説します。
草刈りや剪定業は「建設業」ではありません!
まず最初に知っておきたいのは、草刈りや剪定業は建設業ではないということです。
では、造園業において「建設業」に該当する作業とは何でしょうか。
・公園の設計・造成工事
・屋上緑化、壁面緑化などの大規模な緑化工事
・庭園における石積み、池作り、舗装など、構造物を伴う工事
これに対し、以下の業務は造園業において「建設業」には該当しないとされています。
・草刈り、除草作業
・樹木の剪定・手入れ
・公園や緑地の清掃・落葉回収
・街路樹の巡回点検・軽微な補修
・病害虫の駆除や予防のための薬剤散布
・不要な木の伐採
・肥料の施肥作業(土壌改良・栄養補給)
・芝生の手入れ・刈り込み
・花壇・プランターの植え替えや水やり
これらの業務は「管理・維持」であり、建設業ではないと判断されます。
「建設業の一人親方労災保険」の補償範囲外となる可能性が極めて高いことを理解しておきましょう。
一人親方が草刈りや剪定で事故に遭ったら?
例えば、こんなケースを想像してみてください。
「一人親方さんに樹木の剪定を依頼した。一人親方さんが作業中に脚立から落下し、ケガをしてしまった。」
このような場合、一人親方さんが建設業の労災保険に加入していたとしても、「これは建設業ではないので補償対象外です。」と言われる可能性があります。
「脚立から落ちたのに補償対象外だった。」
「草刈機の事故が補償されなかった。」
といった相談が実際に増えています。
一人親方さんがいざという時、補償を受けられないという事態が起こっているのです。
労災保険は業種に応じた特別加入制度があります。
草刈りや剪定をする一人親方さんの場合は、建設業の組合ではなく、厚生労働省が承認した「フリーランス保険組合」を通じて特別加入する必要があります。
「草刈りや剪定業」に対応した正しい保険を選ぶことが重要です。
元請け企業としてチェックすべき3つのポイント
元請け会社さんが最も注意すべき点は、草刈りや剪定など、建設業に当たらない作業中のケガは、建設業の一人親方労災保険では補償されないということです。
元請け会社として、下請けの方の労災リスクを管理することは、会社の信用と安全管理の観点から欠かせません。
一人親方さんと契約を結ぶ前に以下の3つのポイントを必ず確認しておきましょう。
ポイント①【加入している保険制度の種類を確認】
建設業の労災保険特別加入なのか、フリーランスの労災保険なのかを確認しましょう。
加入している保険の種類によって補償される作業の範囲が異なります。
草刈りや剪定作業が補償される制度であるかを確認してください。
ポイント②【保険証書の有効性を確認】
実際に労災保険に加入しているか、保険証書で確認しましょう。
名義だけでなく、加入期間や有効性も確認できます。
ポイント③【補償対象となる「作業」を確認】
一人親方さんへ依頼予定の作業(草刈りや剪定など)が保険の補償対象となっているかを確認しましょう。
保険の「補償外」の作業があると、万が一のケガの際に補償されない可能性があります。
まとめ
契約している一人親方さんが「労災保険に入っている」という事実だけを確認して安心していませんか?
しかし、それだけでは不十分なケースがあることをこの記事でお伝えしました。
造園業の一人親方さんが万が一の時にきちんと補償を受けるには、草刈りや剪定といった維持管理作業に対応した労災保険を選ぶことがとても大切です。
元請け会社さんにとっても、正しい保険への加入を促すことは、現場のリスク管理であり、優良な協力関係を築くための第一歩です。
まずは、契約している一人親方さんの保険状況をチェックしてみましょう。
フリーランス保険組合では、フリーランスの皆さんが安心して働けるよう、労災特別加入のサポートを行っています。ご質問やご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
時間の経過により内容が変更されている可能性がありますので、ご利用の際は必ず最新の情報をご確認ください。




