公開日:2025年7月4日

この記事はこんな方におすすめです
はじめに
「フリーランス(一人親方)になったけれど、保険はどうすればいい?」 「もしもの時に備えたい」
そう考える方は多いのではないでしょうか。
会社員時代と違い、自分で保険を選ぶ必要がありますよね。
特に気になるのは、万が一の事故や病気で仕事ができなくなった時のこと。
そんな時、あなたを助けるのが「保険」です。
しかし、「国の労災保険って、フリーランス(一人親方)にもメリットあるの?」「民間保険と何が違うの?」といった疑問もあるでしょう。
この記事では、そんな疑問を解決すべく、国の労災保険のメリットと民間保険との違いを、わかりやすく丁寧にご説明します。
そもそも「民間保険」ってどんなもの?
まず、「民間保険」についてお話しします。
民間保険とは、その名の通り、保険会社さんが提供している保険のことです。
テレビCMでもよく見かける生命保険や医療保険などが代表的ですね。
民間保険には、本当にたくさんの種類があります。
主なものと、その特徴を表にまとめました。
種類 | 主な目的・補償内容 | 主な特徴 |
---|---|---|
生命保険 | ご自身に万が一のことがあった時、ご家族の生活を守る(死亡補償、貯蓄など) | 死亡時にまとまったお金を受け取れる。貯蓄性のある商品もある。 |
医療保険 | 病気やケガで入院・手術した時の医療費負担を軽減する | 入院日額や手術給付金など、補償内容を細かく選べる。先進医療特約も人気。 |
損害保険 | 特定の損害(火災、自動車事故、賠償責任など)に対する補償 | 業務中の事故で他人に損害を与えた場合の賠償責任保険も検討できる。 |
所得補償保険 | 病気やケガで仕事ができなくなった時の収入を補う | 会社員の傷病手当金のような役割。フリーランスには特に重要。 |
民間保険の大きな特徴は、ご自身のライフスタイルやニーズに合わせて、自由にカスタマイズできる点です。
補償内容や保険料、保険期間など、自分の希望に合わせて選ぶことができるため、様々なリスクに対応できます。
フリーランス(一人親方)の方にとって、民間保険は「もしも」の時に備える上でとても心強い存在ですが、その分、ご自身でしっかり準備しておくことが大切になります。
「国の労災保険」ってどんなもの?フリーランス(一人親方)も入れるの?
次に、「国の労災保険」についてお話ししますね。
こちらは、国が運営している公的な保険制度です。
国の労災保険の基本的なしくみと「特別加入」制度
本来、労災保険は会社に雇われた労働者が、仕事中や通勤中のケガ・病気で補償を受ける制度です。企業が保険料を負担するため、労働者側の支払いはありません。
しかし、フリーランス(一人親方)は「事業主」とみなされるため、通常は対象外です。
そこで重要なのが「労災特別加入」制度。
フリーランス(一人親方)も、特定の条件を満たし手続きをすれば、この国の労災保険に「特別に」加入できるのです。
これは、労働者に近い働き方をする方が、万が一の事故や病気に備えられるよう国が設けた特別な制度です。
国の労災保険(特別加入)の主な特徴
国の労災保険(特別加入)には、民間保険とは異なるいくつかの大きな特徴があります。
業務上の災害に特化
国の労災保険は、仕事中や通勤中の事故や病気に特化して補償してくれます。
プライベートでのケガや病気は対象外ですが、仕事中のリスクに対しては手厚い補償が受けられます。
「過失」に関わらず補償
国の労災保険は、災害の原因が事業主や労働者(フリーランスの場合、ご自身)の過失にあるかどうかに関わらず、発生した災害に対して補償が行われます。
これは民間保険ではあまり見られない特徴ですね
後遺症のカバーも充実
療養の給付や休業補償だけでなく、万が一、重い後遺症が残ってしまった場合でも、補償が行われます。
国の制度としての安定性
国が運営しているため、保険会社さんの倒産といった心配がなく、安定した補償を受けられるという安心感があります。
加入審査は比較的緩やか
ほとんどの場合、加入に際しての健康審査は必要ありません。
ただし、特定の粉じん作業や振動工具の使用など、有害な業務に従事する方については、加入にあたり健康診断が必要となる場合があります。
フリーランス保険組合では、造船業の一人親方やデザイナー、ライターなど、幅広い業種のフリーランスの方々を対象とした労災特別加入を取り扱っています。
ご自身の業種が対象となるか不安な場合は、ぜひご相談くださいね。
民間保険と国の労災保険、主な違いを比較してみよう!
ここで一度、両者の主な違いを比較してみましょう。
補償の範囲
項目 | 民間保険 | 国の労災保険(特別加入) |
---|---|---|
補償対象 | 病気、ケガ、死亡、賠償責任など様々 | 仕事中や通勤中のケガ、病気、死亡に特化 |
原因の限定 | なし | 業務上の原因に限定 |
精神疾患 | 商品による | 業務が原因と認められれば対象 |
後遺症への対応 | 商品による | あり(療養、休業、障害、傷病年金など) |
死亡補償 | 契約内容による | あり(遺族補償年金、葬祭料など) |
入院・通院の補償 | 契約内容による | あり(療養、休業の補償) |
保険料と加入
項目 | 民間保険 | 国の労災保険(特別加入) |
---|---|---|
保険料の決め方 | 契約内容、年齢、健康状態などによる | 選択した給付基礎日額による |
保険料の支払い | 自己負担 | 自己負担 |
加入審査 | 健康状態、職業などによる | ほとんどの場合、加入に際しての健康審査はなし(※) |
契約の自由度 | 高い(補償内容、保険期間など) | 低い(国の制度のため内容が統一されている) |
(※)国の労災保険の特別加入において、特定の粉じん作業や振動工具作業など、有害な業務に従事する方については、加入にあたり健康診断が必要となる場合があります。
その他
項目 | 民間保険 | 国の労災保険(特別加入) |
---|---|---|
運営主体 | 民間保険会社 | 国(厚生労働省) |
給付までの期間 | 契約内容や手続きによる | 認定プロセスを経て給付 |
税制上の扱い | 保険料控除の対象となる場合あり | 事業経費として計上可能(特別加入) |
このように比較してみると、民間保険と国の労災保険の違いがよくわかりますよね。
民間保険は幅広く様々なリスクに備えたい時に、国の労災保険は特に仕事中のリスクに手厚く備えたい時に有効だと言えます。
厚生労働省承認
結局、フリーランス(一人親方)はどっちを選べばいいの?
ここまで、民間保険と国の労災保険、それぞれの特徴やメリットを比較してきました。
では、具体的にフリーランス(一人親方)のあなたはどちらを選べば良いのでしょうか。
どちらか一方ではなく、「組み合わせる」のが最も賢い選択
結論から言うと、どちらか一方を選ぶのではなく、両方を組み合わせて加入するのが、フリーランス(一人親方)にとって最も安心できる選択だと私たちは考えています。
なぜなら、民間保険と国の労災保険は、それぞれ補償の範囲や得意とする分野が異なるからです。
このように、それぞれの良いところを活かすことで、フリーランス(一人親方)として起こりうる様々なリスクに、より手厚く備えることができるのです。
具体的な選択のヒント
まずは国の労災保険(特別加入)を検討する
フリーランス(一人親方)にとって、仕事中の事故や病気は、収入に直結する大きなリスクですよね。
そんな時、国の労災保険は業務中の災害に非常に手厚く、民間保険のような健康状態の審査もほとんどないため、持病がある方でも加入しやすいメリットがあります。
「労災保険なんて自分には関係ない」と思っているなら、それはもったいないことです。
フリーランス(一人親方)の方こそ、この国の手厚いセーフティネットを活用しましょう。
民間保険で足りない部分を補う
国の労災保険だけではカバーできないのは、プライベートでの病気やケガ、そして業務とは関係のない死亡リスクです。
これらのリスクに備えるためには、医療保険や生命保険といった民間保険の加入を検討しましょう。
ご自身の年齢、健康状態、家族構成、仕事内容、そして「もしも」の時にどれくらいの補償が必要かを考え、最適な組み合わせを見つけることが大切です。
まとめ
今回は、フリーランス(一人親方)にとって大切な「国の労災保険のメリット」と「民間保険との違い」について詳しくお話ししました。
国の労災保険は、仕事中や通勤中の事故・病気に特化した、手厚い国の制度です。
治療費が原則全額免除されたり、休業補償が手厚かったりするのは、民間保険では得にくい大きなメリット。
フリーランス(一人親方)の方も「特別加入」で利用できるのは、ぜひ知っておいてほしいポイントです。
一方、民間保険は、ご自身のニーズに合わせて幅広いリスクに備えられます。
プライベートのケガや病気、手厚い死亡補償などをカバーするのに有効です。
どちらか一方ではなく、「国の労災保険で仕事のリスクを、民間保険でプライベートのリスクや足りない補償を補う」組み合わせがよいと言えるでしょう。
ぜひ覚えておいてくださいね。
厚生労働省承認
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