5分でわかる!歯科技工士の労災特別加入

この記事はこんな方におすすめです

  • 一人で歯科技工の業務を行っている方
  • 歯科技工士が加入できる労災保険について知りたい方
  • 仕事中のけがや疾病に備えたい歯科技工士の方

はじめに

歯科医療を影で支える専門職、歯科技工士。
2022年7月から、労働者を使用せずに歯科技工の業務を行う方も、
労災保険へ「特別加入」できるようになりました。

「そもそも歯科技工士とはどのような仕事か」という基本から、
なぜ労災保険への特別加入が選択肢となるのか、
その理由を5分で解説します。

1.歯科技工士とはどんな仕事?

歯科技工士は、歯科医師の指示に基づき、患者さんの口の中に装着する
義歯(入れ歯)や詰め物などを製作する、
「医療」と「ものづくり」のスペシャリストです。

  • 主な製作物:むし歯の詰め物・被せ物、入れ歯、
    インプラントの上部構造、矯正装置など
  • 求められる技術:ミリ単位以下の精度を実現する繊細な職人技に加え、
    近年では、コンピューターで歯科技工物を設計・製作する
    「CAD/CAM(デジタル技術)」の活用も進んでいます。
  • やりがい:患者さんの「かむ・話す・笑う」という機能を補い、
    生活の質(QOL)を支える社会的意義の大きい職業です。

2.どんな働き方の歯科技工士が「特別加入」の対象?

2022年7月1日から、歯科技工士法に基づく免許を持ち、
労働者を使用せずに歯科技工の業務を行う方は、
「一人親方その他の自営業者」として労災保険へ特別加入できるようになりました。

  • 個人事業主:自宅や独立した歯科技工所で、
    労働者を使用せずに業務を行っている方
  • フリーランス:特定の組織と労働契約を結ばず、
    歯科医院や歯科技工所などから業務委託を受けて働く方

契約の名称が「業務委託」や「請負」であっても、
働き方の実態から労働者と判断される場合は、
通常の労災保険が適用される可能性があります。

従業員を雇っている場合は、事業場の規模などの要件により、
「中小事業主等」として特別加入できることがあります。
また、法人の代表者や役員についても、
法人化しているという理由だけで加入区分を判断することはできません。

労働者の使用状況、契約内容、指揮命令の有無などにより、
適用関係が異なります。

加入を希望する団体や、所轄の労働基準監督署へ確認してください。

3.知っておくべき労災リスク

歯科技工士の仕事には、長時間座った状態で行う作業に加え、
特殊な機材や材料を扱うことによる特有のリスクがあります。

作業中に想定される事故

  • ハンドピースのバー(刃)が滑り、指を切る
  • 鋳造作業中に溶融した金属が跳ね、やけどを負う
  • 研磨中に金属片やプラスチックの粉が目に入り、角膜を傷つける

長期間の作業により生じる可能性がある疾病

  • じん肺:鉱物性の粉じんを長期間吸い込むことによって、
    肺に線維増殖性変化が生じる疾病
  • 振動障害:振動工具を長期間使用することにより、
    手指のしびれや冷えなどが生じる障害

疾病が労災保険給付の対象となるかどうかは、
具体的な作業内容、従事期間、発症との因果関係などに基づいて、
個別に判断されます。

一人で働く方がけがや疾病によって仕事を休むと、
収入が減少する可能性があります。
労災保険へ特別加入している場合、仕事中や通勤中の災害について、
所定の要件を満たせば、療養(補償)等給付や
休業(補償)等給付などを受けられます。

実際に労災保険給付が支給されるかどうかは、
申請した業務内容や事故時の作業状況などに基づき、
所轄の労働基準監督署が判断します。

4.加入するために必要なもの

一人親方その他の自営業者として加入する場合は、
都道府県労働局長の承認を受けた特別加入団体を通じて手続きを行います。
加入手続きでは、主に次の準備や確認が必要です。

  1. 歯科技工士免許証の写し:
    歯科技工士の資格を持っていることを確認するために提出します。
  2. 本人確認書類:
    運転免許証(両面)、マイナンバーカード、国民健康保険証、住民票など
    いずれか1点をご準備ください。

加入時健康診断の対象となる場合があります。
可能性がある業務と従事期間には、次のようなものがあります。

  • 法令で定められた粉じん作業を行う業務:3年
  • 法令で定められた振動工具を使用する業務:1年
  • 法令で定められた鉛業務または有機溶剤業務:6か月

歯科技工で粉じんや工具、有機溶剤などを扱っていても、
すべての作業が加入時健康診断の対象になるとは限りません。
具体的な材料、工具、作業方法、従事期間を特別加入団体へ伝えて、
確認してください。

まとめ:身体が「資本」の仕事だからこそ

高額なCAD/CAM機器などへの設備投資も重要ですが、
歯科技工士にとって、最大の資本は「自分自身の身体」と
「指先の技術」
です。

万が一の事態に備えるための選択肢として、
国の労災保険へ特別加入することを、
この機会に検討してみてはいかがでしょうか。

公的な参考資料

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