公開日:2026年10月21日
最終更新日:2026年10月21日

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はじめに
船員の仕事では、甲板での転倒や機械への巻き込まれなど、思わぬ事故によってケガをすることがあります。
もし骨折などで長期間乗船できなくなったら、治療費だけでなく、仕事ができない間の収入も心配になるのではないでしょうか。
船員の一人親方や個人事業主は、仕事を休むことで収入が途絶えてしまうこともあります。
そんなときに備えられるのが、国の労災保険の「休業補償」です。
労災保険に特別加入している船員フリーランスは、仕事中のケガなどで働けなくなった場合、条件を満たせば休業4日目から給付を受けられます。
この記事では、休業補償の支給条件や金額、実際にケガをしたときの手続きについてわかりやすく解説します。
船員がケガで働けなくなったら労災保険で補償される?
船員の一人親方や個人事業主も、国の労災保険に特別加入することで、仕事中の事故などに備えられます。
労災保険には、仕事が原因のケガや病気に対する治療費の給付だけでなく、療養のため働けなくなった場合の休業補償もあります。
例えば、甲板で転倒して足を骨折し、医師から安静を指示されて乗船できなくなった場合などです。
このような場合、事故が労災と認められ、休業補償の支給条件を満たせば、休業期間中に給付を受けられます。
ただし、船員の仕事中に起きた事故がすべて自動的に補償されるわけではありません。
特別加入の対象となる業務かどうか、事故の状況や療養の必要性などをもとに判断されます。
労災保険の休業補償はいつから支給される?
労災保険の休業補償は、原則として休業4日目から支給されます。
つまり、仕事中のケガで休業した場合でも、最初の3日間については労災保険からの休業補償はありません。
例えば、10月1日から10月10日まで、10日間続けて休業した場合を考えてみましょう。
| 休業期間 | 休業補償 |
|---|---|
| 10月1日~3日 | 支給対象外 |
| 10月4日~10日 | 条件を満たせば7日分が支給 |
この場合、休業4日目から10日目までの7日分が支給対象となります。
なお、これは休業補償の支給対象となる日数の例です。実際の支給には、医師の証明や労働基準監督署による審査などが必要です。
また、一人親方等の特別加入者には、一般の労働者と異なり、最初の3日間について事業主から休業補償を受ける仕組みはありません。
船員の休業補償はいくらもらえる?
休業補償の金額は、労災保険に加入するときに選択した「給付基礎日額」によって決まります。
休業1日あたりに受け取れる金額は、原則として給付基礎日額の80%相当です。
- 休業(補償)等給付:給付基礎日額の60%
- 休業特別支給金:給付基礎日額の20%
この2つを合わせて、給付基礎日額の80%相当が支給されます。
給付基礎日額別の休業補償額
| 給付基礎日額 | 休業1日あたり | 30日間休業した場合 |
|---|---|---|
| 3,500円 | 2,800円 | 75,600円 |
| 5,000円 | 4,000円 | 108,000円 |
| 8,000円 | 6,400円 | 172,800円 |
| 10,000円 | 8,000円 | 216,000円 |
| 16,000円 | 12,800円 | 345,600円 |
| 20,000円 | 16,000円 | 432,000円 |
| 25,000円 | 20,000円 | 540,000円 |
例えば、給付基礎日額10,000円で30日間休業した場合、8,000円×27日=216,000円となります。
給付基礎日額が高いほど休業補償額も高くなりますが、その分、支払う労災保険料も高くなります。
加入時には、保険料と万が一の休業に必要な生活費を考え、自分の所得水準に見合った給付基礎日額を選ぶことが大切です。
休業補償を受けるための条件は?
船員の一人親方・個人事業主が休業補償を受けるには、仕事中のケガなどで療養が必要となり、特別加入の対象となる業務を行えない状態であることが重要です。
特別加入者の場合、一般の労働者とは異なり、療養のため対象となる業務や作業について「全部労働不能」であることが支給要件となります。
具体的には、次のような状態が考えられます。
- ケガによって入院している
- 医師の指示で自宅療養している
- 通院しながら療養しており、対象となる業務を全く行えない
例えば、足を骨折して甲板作業や乗船業務を行えず、医師から療養が必要と判断されている場合などです。
一方、単に仕事の依頼がない場合や、仕事が少なくなって収入が減った場合は、休業補償の対象にはなりません。
また、ケガをしていても、特別加入の対象となる業務を行える状態であれば、休業補償が認められない場合があります。
休業補償は、収入が減ったことではなく、療養のため対象業務を行えない状態であることがポイントです。
乗船できなくなったら必ず休業補償を受けられる?
船員の仕事では、ケガによって乗船できなくなることがあります。
ただし、乗船できなくなったという理由だけで、必ず休業補償が支給されるわけではありません。
例えば、船内作業中の事故で骨折し、医師から一定期間の安静を指示された場合は、休業補償の対象となる可能性があります。
一方、ケガは治っていて業務を行える状態なのに、次の乗船予定が決まっていないという場合は、原則として休業補償の対象にはなりません。
休業補償の支給については、事故が起きた状況、ケガの程度、医師の判断、実際に行っている仕事内容などをもとに審査されます。
そのため、事故後は仕事を休んだ日数だけでなく、どのような作業ができない状態だったのかも整理しておきましょう。
仕事中にケガをして休業が必要になった場合は、労災保険の給付請求手続きを行います。
休業中の治療費も労災保険で補償される?
労災保険では、休業中の収入を補う給付だけでなく、仕事中のケガに必要な治療についても補償があります。
業務上のケガとして認められた場合、労災指定医療機関では、原則として窓口負担なしで必要な治療を受けられます。
労災指定医療機関以外で治療を受けた場合は、いったん費用を支払い、後から請求する取扱いになることがあります。
つまり、労災保険には、治療費に対する給付と、働けない期間に対する休業補償の両方があります。
ただし、それぞれ請求する書類や支給条件が異なります。
ケガをした際は、治療費と休業補償の両方について、必要な手続きを確認しましょう。
まとめ|船員の休業補償は働けない期間の大切な備え
船員の一人親方や個人事業主が仕事中のケガで働けなくなった場合、労災保険に特別加入していれば、所定の要件を満たす休業について補償を受けられます。
休業補償は原則として休業4日目から支給され、1日あたりの金額は給付基礎日額の80%相当です。
例えば、給付基礎日額10,000円の場合、休業1日あたり8,000円相当が支給されます。
ただし、休業補償を受けるには、療養のため特別加入の対象業務を行えない状態であることなどが必要です。
船員の仕事は、ケガによって長期間乗船できなくなることもあります。万が一の休業に備え、仕事を始める前に労災保険への加入を検討しておきましょう。
船員フリーランスの労災保険については、以下のページをご確認ください。

公的な参考資料
厚生労働省「労災保険への特別加入」
神奈川労働局「労災保険の特別加入制度(一人親方その他の自営業者)」
秋田労働局「特別加入者の休業(補償)給付の支給要件について」
https://jsite.mhlw.go.jp/akita-roudoukyoku/content/contents/001052377.pdf
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